2025.10.21

「成長しない新入社員にイライラ…。教育担当として、どう立ち回ればいい?」お悩み相談コーナー #01

今回から、定着の樹の新企画「お悩み相談コーナー」をスタートします。

このコーナーでは、職場環境・制度・人間関係・コミュニケーション・育成・評価など、
職場で起こるさまざまなお悩みに対し、定着の樹の専門家たちが実践的な視点からお答えします。

第一回となる今回は、製造業で新入社員の教育担当を務める方からのご相談です。

多忙な中、自分の業務を抱えながらも、なかなか成長しない新入社員をフォローし続ける日々——。

ストレスと孤立感が募る中、教育担当としてどのように立ち回ればよいのでしょうか。


■相談内容

新入社員の教育担当を任されていますが、最近その対応にイライラしてしまう。

今年4月に入社した新入社員の教育担当を任されていますが、最近その対応にイライラしてしまうことが増えています。

新入社員は面接時の印象も良く、上司や役員からも期待されていた人ですが、実際に指導してみると実務面での課題が多いです。

たとえば、パソコンのタイピングがいつまでも遅く、誤字脱字や入力ミスが多いにもかかわらず、本人は「見直している」と言い張るばかり。

会話も小さな声でゆっくりしており、急ぎの場面でもマイペース。
営業担当から頼まれごとをされてもテンポが合わず、指示を理解しきれません。

電話対応では、相手の話を聞きながらメモを取ることが苦手で、内容を取り違えたり、要点を伝え損ねたりして外出中の社員やお客様を怒らせてしまうこともあり、半年経った今でも私が代わりに対応することがあります。

一方で私は、新入社員が来る前と変わらない業務量を抱えたまま教育を任されており、自分の仕事が後回しになっています。

上司に相談しても「他の人も忙しいから」と取り合ってもらえず、孤立しているような気持ちです。

仕事自体にはやりがいを感じており、待遇への不満もありません。

しかし、成長しない新入社員と協力を得られない環境にストレスが溜まり、辞めたい気持ちすら出てきました。

この状況で、教育担当としてどう立ち回ればよいでしょうか?

(30代前半 女性/製造業・営業事務)

■専門家の回答_高橋直樹 さん(自走型組織づくりコーチ)より

イライラの正体を見極めよう ― コントロールできるのは自分

高橋 直樹 さん

できていない、遅いなどの状況は理解しますが、何にイライラしているのでしょうか。

教えたのにできていない、こちらの意図を汲んでくれないなどでしょうか。

他人をコントロールできないこと、コントロールできるのは自分だけということを念頭に置いて、状況を冷静に見てみることをおすすめします。

指導方法と仕組み、両面に課題がある可能性

高橋 直樹 さん

こんなことが考えれます。
・まだ実践の場で任せるスキルが付いていない
・仕事の全体像を理解していない

このことから、
・指導や指示は相手のレベルに合ったものだったか
・育成の計画があり、共有しながら進められるものだったか

などの指導方法と仕組みの両面に課題がありそうです

「個人の課題」と「会社の課題」を分けて考える

高橋 直樹 さん

また、個人の課題と会社の課題は別で、分けて考えましょう

個人のスキルは磨くことはできても、会社の仕組みは個人での解決はできないでしょう。

気になるのは、「上司に相談しても~」のところ。

新人育成に対する会社または部署の考え方が現れています。

教育担当を設ければまわる話ではなく、会社にとっては未来への投資を疎かにしていると見えます。

中堅社員がいない、次世代のリーダーがいないなどの悩みはここから始まっています。

仕事ができる人に仕事が集まりますが、集まった仕事を解放してあげないと会社に仕組みという財産は残りません。

■回答してくれた専門家

高橋 直樹(たかはし・なおき)

自走型組織づくりコーチ。

高校卒業後、工場勤務を経て22歳でリーダー職を経験し、人をまとめる難しさを実感。2010年に治療院の責任者として転職し、視覚に障がいを持つスタッフのマネジメントや社員教育を担当。35歳で最年少役員に就任し、在任中、2店舗から44店舗へと拡大し、社員数も8名から150名に増加。3年間の離職率は2%に抑え、治療院フランチャイズ220店舗の中で売上日本一を10年連続で達成した。2021年に自動型組織づくりコーチとして独立。社内の人間関係、育成、定着、モチベーション、業務効率などに悩む経営者に対し、自身の経験をもとにした独自のノウハウを提供する。人を尊重し、自由と自立を軸にしたチームづくりで成果を上げている。

今回の回答者・高橋直樹さんへのご相談・講演依頼はこちらから


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