2025.12.16

フリーランス活用したい企業がまず確認しておきたいメリット・注意点

12月16日は「フリーランスの日」とされています。

人手不足や業務内容の高度化が進むなか、フリーランスを業務委託として活用する企業は増えています。

採用が思うように進まない、社員にこれ以上の負荷をかけにくい。

こうした状況において、フリーランスは有効な選択肢の一つになり得ます。

一方で、活用の仕方を誤ると、フリーランスと企業との間で条件をめぐるトラブルが生じ、企業としての信用に影響を及ぼすおそれもあります。

本記事では、「フリーランスの日」にちなんで、企業側の立場からフリーランスを活用するメリットと考えられるデメリット、さらに注意しておきたい点を紹介します。

1.フリーランスを活用するメリット

企業がフリーランスを活用する利点は、大きく3つあります。

1-1. 社員の負担を抑え、事業のスピードを保ちやすい

フリーランス活用の利点の一つは、社員に集中しがちな業務負荷を一時的に分散できる点です。

繁忙期や特定のプロジェクトに合わせて人材を確保することで、いま成長させたい、または新規で立ち上げたい事業を、スピード感をもって進めやすくなります。

また、特定のポジションの内製化や採用の方向性を検討している段階で、業務や成果物単位で外部の力を借りる企業もあります。

業務委託であれば、アルバイトや派遣と比べて、専門性や成果を前提とした契約を結びやすく、費用対効果を考えやすい点も特徴です。

なお、業務委託と雇用は法的に異なる関係である点には注意が必要です。

そのうえで、実務を通じて相互理解が深まり、企業の方針と本人(フリーランス)の意向が一致した場合に、新たに雇用契約を結ぶケースもあります。

1-2.社員がコア業務に集中しやすくなる

内製化が難しい業務や、高い専門性が求められる分野をフリーランスに切り出すことで、社員は事業の中核となる業務に集中しやすくなります

社員に一から学習や試行錯誤を求めるよりも、外部の専門家に任せた方が、短期間で成果につながる場面もあります。

特にスピードが求められる事業フェーズでは、フリーランスは戦略的な補完リソースとして機能するでしょう。

1-3.専門性と外部の視点を取り入れられる

フリーランスを活用することで、社内にはない専門スキルや最新の知見を取り入れることができます

他社事例や業界動向といった外部の視点が加わることで、社内だけでは気づきにくかった課題が見えてくることもあります。

こうした関わりが、社員にとって刺激となり、新しい視点を得るきっかけになる場合もあります。

新規事業や新しい取り組みを小さく試せる点も、フリーランス活用の特徴です。

2.フリーランス活用に潜むデメリットと注意点

フリーランス活用には多くのメリットがありますが、準備が不十分なまま始めると、思わぬ問題につながることがあります。

2-1.役割の整理が不十分だと、現場が混乱しやすい

役割や責任の範囲を曖昧なまま進めると、現場に混乱が生じやすくなります。

最終的な判断を誰が担うのか、どこまでを委託するのかが整理されていない場合、確認や判断のたびに認識の違いが生じ、意思決定に時間がかかることがあります

また、フリーランスへの依存度が高まると、社員が本来関わるはずだった業務の経験が社内に蓄積されにくくなる点にも注意が必要です。

2-2.ノウハウが社内に残りにくい

フリーランスが持つノウハウやスキルは、基本的にその人自身の資産です。

業務委託の場合、成果物の納品や、時間単位での業務対応といった役務の提供は受けられても、知識や考え方までが自然に社内へ残るとは限りません

そのため、契約が終了した途端に社内の業務が滞ってしまうケースもあります。

フリーランスを活用する際には、その人の知見やノウハウの引き継ぎや社内共有についても、あらかじめ整理しておくと安心です。

2-3.運用の仕方によっては労務リスクが生じる

業務委託契約であっても、実際の関係性や業務の進め方によっては、「雇用」と判断される可能性があります。

細かな指示を日常的に出していないか、時間や場所を厳密に指定していないかといった点には注意が必要です。

労働者性が認められた場合、未払い賃金や社会保険料の遡及などが問題になることもあります。

「業務委託だから安心」とは言い切れない点は、押さえておきたいポイントです。

2-4. フリーランス活用を検討する企業が押さえておきたいこと

フリーランスは、適切に活用すれば社員の負担を軽減し、事業の成長を支える存在になり得ます。

一方で、進め方を誤ると、企業とフリーランスの間で条件をめぐるトラブルにつながるおそれもあります。

こうした状況を踏まえ、フリーランスと発注者の取引環境を整えることを目的とした法律も整備されています。

2024年11月には、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されました。

制度の詳しい内容については、公正取引委員会厚生労働省が公開している公式情報を確認しておくと安心です。

漫画や動画による解説、実際のトラブル事例をまとめた資料なども掲載されており、概要をつかむ際の参考になります。

内容の理解に不安がある場合には、行政が主催する説明会に参加したり、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談したりすることも一つの方法です。

3.まとめ

フリーランスは、企業にとって人材不足や専門性の課題を補う有効な選択肢の一つです。

一方で、役割の整理や関係性の設計が不十分なまま進めると、組織運営や契約の面で思わぬ課題が生じることもあります。

大切なのは、業務委託と雇用の違いを正しく理解したうえで、自社にとってどのような関わり方が適切かを、あらかじめ整理しておく姿勢です。

行政の公式情報や専門家の知見も参考にしながら、業務範囲や責任の所在を明確にしたうえで活用を進めていくことで、トラブルやリスクを抑えやすくなります。

フリーランスと社員が、それぞれ安心して力を発揮できる関係が整えば、企業としての安定した成長にもつながっていくでしょう。


フリーランス活用を考えるなら、まずは正しい理解から

人手不足や業務の高度化が進むなか、フリーランスを活用する企業は増えています。

一方で、進め方を誤ると、思わぬトラブルや組織運営への影響につながることもあります。

フリーランスを「とりあえず使う」のではなく、
自社に合った関わり方や体制を整理することで、フリーランスとの長期的な信頼関係維持と従業員の定着→企業の成長につながります。

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