2024.08.27

最低賃金引き上げに備える中小企業のための実践チェックリスト

2024年の最低賃金引き上げが近づいてきました。

 

厚生労働省は、8月29日に各都道府県の審議会が答申した2024年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめました。
令和6年度 地域別最低賃金 答申状況_厚生労働省

中小企業にとって、この賃金引き上げにどう対応するかは避けて通れない課題です。

最低賃金の引き上げは、企業にとって賃金コストの増加を意味し、特に人件費の割合が高い中小企業には大きな経営的影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、最低賃金引き上げに備え、中小企業が具体的に取るべき対策をステップごとに解説します。

 

☑新しい最低賃金の確認と施行日までの準備

最低賃金の引き上げに備えるためには、まず新しい最低賃金の金額と施行日をしっかり確認することが重要です。

経営者や人事担当者は、厚生労働省の公式ウェブサイトや地域の労働局から最新の情報を取得し、スケジュールを立てる必要があります。

現在の賃金体系の見直し

最低賃金の引き上げが決定した場合、まずは現在の賃金体系が新しい基準に適合しているかを確認することが重要です。

 

パートタイムやアルバイトに対する対応

パートタイムやアルバイトの従業員を雇っている場合は、賃金が最低賃金を下回っていないかを確認し、必要に応じて賃金を調整しましょう。

特に、時間給が最低賃金に満たない場合、即座に引き上げる必要があります。
加えて、手当やインセンティブが適切に支払われているかも確認し、全体の支給額が最低賃金に適合していることを確実にします。

 

正社員に対する対応

一方、正社員の場合、基本給が最低賃金に準拠しているかを確認するだけでなく、役割や職務内容に応じた適正な賃金が支払われているかを再評価することが必要です。

上記図にあるように、基本給、役職手当、インセンティブなどがどのように構成されているかを見直し、職務評価を行って役割や責任に応じた適切な給与体系を維持することが求められます。

こうした確認を通じて、最低賃金引き上げによる影響を最小限に抑え、すべての従業員が公正かつ適正な賃金を受け取れるようにすることが大切です。

☑労働コストの予測と調整

最低賃金の引き上げによるコスト増加を予測し、企業の財務に与える影響を事前に把握することは重要です。

中小企業では、このコスト増加が特に大きな負担となるため、効果的なコスト削減策を講じる必要があります。

例えば、業務プロセスの自動化や、効率的な人員配置の見直しなどが考えられます。
さらに、社内全体の残業を減らす努力もできるといいですね。

従業員とのコミュニケーション

最低賃金の引き上げによって賃金改定が必要な場合、その理由や背景を従業員に透明性を持って説明することが大切です。
中小企業では、特に従業員一人ひとりの理解を得ることが重要です。

定期的なミーティングや個別のフィードバックを通じて、従業員の疑問や不安に対応し、信頼関係を維持しましょう。

助成金や支援策の活用

画像元:厚生労働省「賃金引き上げ特設ページ」より

中小企業が利用できる助成金や支援策を活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

例えば、キャリアアップ助成金や業務改善助成金などが利用可能な場合があります。
地域の労働局や商工会議所を通じて、利用できる助成金を調査し、必要な手続きを早めに進めましょう。

労務管理の強化

労働時間の適正管理を徹底し、無駄な残業や休日出勤を減らす取り組みも重要な対策のひとつです。
業務の効率化を図ることで、従業員一人ひとりの生産性を向上させることが可能です。

まとめ

最低賃金の引き上げは中小企業にとって大きな挑戦である一方、適切な準備と対応を行うことで、企業全体のパフォーマンス向上にもつなげることができます。

☑新しい最低賃金の金額と施行日をしっかり確認し、対応スケジュールを立てる

☑賃金体系の見直し

☑最低賃金引き上げ前後のコストの比較、調整検討

☑賃金改定をする場合は従業員とコミュニケーションをとる

☑助成金や支援策の活用検討

☑労働時間・業務効率に気を配る

これらのチェックリストを活用して早めの対策を進めることで、賃金引き上げの影響を最小限に抑え、企業の持続可能な成長と従業員が安心して働くことができる環境づくりを目指しましょう。

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