
ある程度の規模感の企業では、人事異動の内示や辞令の時期の真っ最中かと思います。
もし異動が決まったとき、どのように挨拶をするのが適切なのでしょうか?
異動する本人はもちろん、送り出す上司や同僚、迎え入れる側の職場メンバーも、どのような言葉をかければ良いのか悩むことがあるかもしれません。
今回は、マナー講師の加藤雅子先生に、異動時の挨拶の基本マナーについてお聞きしました。ぜひ、実践の参考にしてください。
目次
はじめに:なぜ異動時の挨拶や準備が重要なのか?
異動は組織内の新陳代謝を促し、従業員の新たな環境での成長を促進する重要なプロセスといわれています。
しかし、異動時に適切な挨拶や引き継ぎが行われないと、不安や誤解が生じ、新しい環境への適応がスムーズに進まないこともあります。
異動する本人だけでなく、送り出す側や迎え入れる側の全員が適切な対応をすることで、職場全体の関係性を円滑にし、チームの生産性を維持・向上させることができます。
この記事では、
- 異動が決まった本人
- 送り出す上司や同僚
- 迎え入れる上司や同僚
の様々な立場の人の「これってどうすればいいの?」という疑問にお答えします。
ぜひご自身のシチュエーションに合った対応方法をチェックしてみてくださいね。
①異動する本人編
現在の部署を離れる際のマナー
1. 部署を離れるとき、どのタイミングで挨拶をするのが正しいですか?
内部事情や途中で変更になることもあるので、上司に相談し、指示を仰ぐのが無難です。
挨拶のタイミングは慎重に考え、自分で勝手に判断し、急いで行わないようにしましょう。
基本的には、正式な発令が出てから、部署を離れる数日前や送別会等で関係者が多く集まるタイミングで挨拶するのが良いです。
2. 挨拶の内容に何を盛り込めばよいでしょうか?簡潔に伝えるコツは?
何よりも大事なことは、これまでお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えることです。
他には、異動に関する情報や異動日、今後の抱負などを盛り込みます。
取引先様やお客様には、後任者の情報や引継ぎの状況などを伝え、安心・信頼を保てるようにします。
余計な情報は入れず、簡潔に纏めましょう。
3. メールや社内チャットでの挨拶と、対面の挨拶はどう使い分ければいいですか?
お世話になった上司や部下、同僚、また、重要な取引先様、顧客には、基本的には対面で感謝の気持ちを込めて御礼の挨拶をしましょう。
相手と都合が合わない場合は、電話、メールを使って挨拶をします。
社内チャットは確実に連絡が届く手段になるので、チャットを使って挨拶をするのも良いです。
4.今の部署を離れる際、菓子折りは持って行ったほうがいいですか? また、どういうお菓子を選べばいいのでしょうか?
菓子折りは、お世話になった方々への感謝の気持ちを形にして表現するものの一つです。
他の方法で、気持ちをしっかりと伝えられていれば、無理に用意する必要はありません。
悩んだ時は、職場の風習に合わせるのが無難です。
これまで異動された方々がどのようにしていたかを確認し、それに合わせ、金額や贈り物を検討すると良いでしょう。(贈り物を廃止している企業様もあります。)
【菓子折りの参考】
1人につき300円前後で、個包装、常温保存ができ賞味期限がある程度長めのもの、万人受けのお菓子が◎。
「ありがとう」、「感謝」などのメッセージが入っているものもお勧めです。
(例:クーヘン、カステラ、どら焼き、パッケージにメッセージのあるコーヒー・紅茶等)
5. 菓子折りを配る範囲はどこまでにすればいいですか?
自分がお世話になった部署全体、直接お世話になった人、仕事で関わりがあった人などに配ると良いでしょう。
新しい部署に配属された際のマナー
6.初日に行う挨拶で、どのような内容を話せば好印象を与えられますか?
次の内容を入れて、1~2分程度で、笑顔で明るくハキハキと挨拶をしましょう。
①基本的な自己紹介
②これまでの経験
③一日でも早く職場に馴染み戦力になる努力をすること
④今後の抱負
⑤相手の自分に対する指導や教育を敬う表現(例:「ご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」)等
7. 新しい部署で馴染むために、挨拶以外に心がけることはありますか?
挨拶の他に、次のことを意識すると良いでしょう。
①職場で一緒に働く人の名前を早く覚え、積極的にコミュニケーションをとる
②仕事に必要な情報の収集やスキルの習得
③話し掛けられやすい雰囲気(笑顔)を意識する
④色々なことに興味・関心を示す
②送り出す上司編
“異動する従業員”に伝える挨拶マナー
8. 異動対象者にエールを送る際、どんな言葉を伝えれば良いでしょうか?
部下に対するこれまでの感謝の言葉とお祝いの言葉を先に伝えます。
次に、異動者本人が仕事に貢献した内容や一緒に過ごした印象深い思い出を具体的に入れます。
(例:「○○さんとは、よく一緒に~~をしましたね」等、名前を入れるとより気持ちが伝わります。)
最後に、今後も良い関係を続けていきたい気持ちを入れます。
(例:「新しい環境に慣れ、落ち着いた頃にでも連絡ください。近況報告を兼ねて、また食事にでも行きましょう」等)
9. 本人が不安そうな場合、どのようなフォローをすれば良いですか?
何度か面談の機会を設け、じっくり話をしながら本人の不安要素を取り除けるようにします。
また、人事異動の目的や理由、今後の本人への期待等を具体的に、正直、丁寧に伝え、理解を得られるようにします。
異動前のスケジュールや異動先の情報等を分かる範囲で伝え、出来るだけ安心して準備が出来るようにフォローをします。
これまで一緒に乗り越えてきたエピソード等を話し、本人の存在感を伝えるのも良いでしょう。
※勇気づける言葉掛けは、逆効果になることがあるので控えましょう。
異動対象者の“次の配属先の上司”へ伝える挨拶マナー
10. 異動先の上司に引き継ぎを行う際、どのような内容を伝えるべきですか?
引継ぎの内容には、次のことを盛り込むと良いでしょう。
①異動日
②現在の部署での業務内容
③略歴、スキルや実績
④異動者の人柄など
※マイナスに取られるような内容や言葉遣いには十分気を付けましょう。
11. メールや電話での引き継ぎ挨拶の際に気をつけるべきマナーは?
異動が正式に決まった時点で早めに連絡を取り、仕事の引継ぎがスムーズに進められるようにすると良いでしょう。
顔が見えないだけに、言葉遣いや相手に勘違いされるような発言や不適切な表現、それに加え、電話では声の調子に十分気を付けましょう。
③送り出す同僚・チーム全体編
異動対象者を送り出す際のマナー
12. 異動する人に餞別のギフトって送った方がいいですか?
職場文化や相手との関係性、また地域性にもよりますので、その状況に合わせて判断するのが良いでしょう。
一般的には、感謝の気持ちを込めてプレゼントをすることが多いです。
餞別は、感謝やお別れの気持ちを表現するものです。
ギフトに拘る必要はありません。
手紙や寄せ書き、花束等で気持ちを伝えるのも良いでしょう。
いずれにしても、相手の負担にならない程度のものを選びましょう。
④迎え入れる上司編
異動対象者を受け入れる際に伝える挨拶マナー
13. 異動者を歓迎する際、どのような挨拶が適切でしょうか?
「ようこそ」の歓迎の気持ちをしっかりと入れ、笑顔でハキハキと挨拶をしましょう。
異動者が職場に早く馴染んで一緒に働きやすくなるような歓迎の言葉と激励の言葉を伝えましょう。
(例:「○○さん、△△へ(組織名)ようこそ。(途中省略)元上司の△△さんからもお聞きしてますが、○○さんの様な素晴らしい人材を向かい入れることが出来、大変嬉しく存じます。(途中省略)皆で力を合わせて一緒に○○という目標達成に向けて取り組んでいきましょう。分からないことは何でも聞いて、一日でも早く環境、仕事に慣れ、力を発揮されることを期待します。・・・・」)
14. 初日にどんなサポートをすると、異動者が馴染みやすくなりますか?
積極的にコミュニケーションを取りながら、仕事の内容や職場の環境、設備、職場文化等について詳細を丁寧に説明するように心掛けましょう。
異動してきた方が「こんなこと聞いたら恥ずかしい」と思うようなことも気軽に聞ける雰囲気でサポートすることが大切です。
(例、電話対応の仕方:最初の出方(社名/社名と部署名/社名・部署名と個人名)、お昼休みはどのように過ごすのか・どこで食べるのか、更衣室の使い方、出社時の服装・・・等々)
自分たちにとっては当たり前でも、異動してきた方にとっては、そうではないことがたくさんあることを理解しておきましょう。
異動対象者の“前の配属先の上司”へ伝える挨拶マナー
15. 前の上司にお礼を伝える際、どのような言葉を使えば良いでしょうか?
心からの感謝の気持ちと異動してくる方を大切にし、成長、活躍できるよう支援していく言葉を伝え、前の上司の方から信頼・安心が得られるようにしましょう。
(例:「この度は、○○さんのような素晴らしい人材の配置転換をご決断いただき、心より感謝申し上げます。(途中省略)○○さんの人柄やこれまでの経験、スキルを活かしていただけるよう、配慮しながらサポートして参ります。今後も○○(元上司)さんとは連絡を取り合い、情報共有させていただければ幸いです。引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。」)
⑤迎え入れる同僚・チーム全体
異動対象者を迎え入れる際に伝える挨拶マナー
16. 初対面の異動者に話しかけるとき、どんな言葉を使うと馴染みやすくなりますか?
明るく、優しい笑顔で話し掛けましょう。
相手に敬意を払いながらも、打ち解けやすい雰囲気と言葉を使って挨拶をしましょう。
畏まりすぎる挨拶は、なかなか距離を縮めることができません。
「力を合わせて一緒にやっていきましょう!」「分からないことがあったら何でも聞いてください。私も分からないことがあったら質問させていただきますので、その際はよろしくお願いします。」のように、相手を受け入れている言葉や一体感を感じられる言葉を入れると良いでしょう。
17. 新しいメンバーを歓迎する場を作る際、どんな配慮が必要ですか?
新しいメンバーを歓迎する場では、次の事に配慮しましょう。
①積極的にコミュニケーションを取る
②元のメンバーだけでかたまらない
③新しいメンバーが分からない話をしない
※話をする必要がある時は、異動者にも理解できるように説明を加える
④コソコソ話はもってのほか!
異動者に直接関係のない話でも不快な思いをさせてしまいます。
⑤新しく入ってきた人を尊重し、相手の立場に立って話し掛ける
思いやりの心で優しく、丁寧に接しましょう。
さいごに
異動時の挨拶は、単なる儀礼ではなく、職場の円滑なコミュニケーションを促進し、信頼関係を築くための重要なプロセスです。
異動する本人にとっては、新しい環境でのスタートを円滑にするための第一歩であり、送り出す側や迎え入れる側にとっては、組織の一体感を高める機会にもなります。
適切な挨拶を交わし、職場全体の雰囲気を良くすることで、スムーズな異動と定着につなげていきましょう。
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監修者紹介:加藤雅子先生(Kキャリアウィング代表)
今回の記事を監修いただいた 加藤雅子先生は、 Kキャリアウィング代表 として、企業・個人向けの研修を提供されています。
Kキャリアウィングでは、 受講者一人ひとりとの信頼関係を築きながら、楽しく、アットホームな雰囲気の中で学べる研修を大切にし、実践の場で活かせるスキルを身につけられる研修や講座を提供しています。
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