2025.10.14

中小企業が実践できる「採用と定着」のヒント|林業人材獲得力UPセミナー登壇レポート

人材不足が続く林業業界。

9月19日に京都府様主催で開催された「林業人材獲得力UPセミナー」にて、私・渡辺が登壇し、「林業の採用と定着」についてお話させていただきました。

採用市場の変化から、社員が長く活躍し続けるための環境づくりまで――。

今回はその講演内容の一部をダイジェストでご紹介します。

1.人材確保が難しい時代に──中小企業が直面する“採用の壁”

今の採用市場は、10年前と比べてまったく違う景色になっています。

少子高齢化の影響で、どの業界でも「人を採る」こと自体が難しくなりました。

林業も例外ではなく、特に体力を要する現場職は敬遠されがちです。

 「募集を出しても応募がない」「採用してもすぐ辞めてしまう」――そんな声を現場でよく耳にします。

一方で、求職者の価値観も変化しています。

かつては“経済力がすべて”という時代でしたが、今では「ワークライフバランス」の考え方を経て「ライフスタイルベース」での働き方を重視する人が増えています。

こうした変化の中で、中小企業の採用では、待遇や福利厚生の数字だけでなく、“どんな想いで事業をしているか”を伝えることが重要です。

採用は“数合わせ”ではなく“関係づくり”

採用の入口を広げるだけでなく、入社後に「この会社で働き続けたい」と思える関係を築くことこそ、これからの中小企業に求められる採用のあり方だと考えています。

2.「採用活動は入口にすぎない」――定着力を高める5つの要素

先ほどのパートで、これからの採用における課題を理解いただけたかと思います。
しかし、採用はゴールではありません。

求職者の立場から見れば、その会社で働きたいと感じる理由の一つには、「今いる社員が安心して、長く活躍できているか」という点があります。

また、企業が事業を成長させていくためには、採用した人材がその会社で自分の強みを発揮し、戦力化していくことが欠かせません。

だからこそ、私は「採用と定着」は切り離して考えるのではなく、採用後の定着施策までを一連の流れとして設計することが重要だと考えています。

セミナーの後半では、組織の定着力を上げるための5つの要素を紹介しました。

それは、
①制度・条件 
②業務 
③マネジメント 
④個人 
⑤組織コミュニケーション
 の5つです。

まず、給与や休日などの「制度・条件」は、生活の安定に直結するため、まず見直すべき基本的な部分です。

しかし、それだけでは人は定着しません。

たとえば、仕事のやり方や負担を見直す「業務改善」、上司が部下の成長を支援する「マネジメント」、社員一人ひとりの成長意欲を高める「個人へのアプローチ」など、複数の側面から“働きやすさ”を考えることが大切です。

特に「組織コミュニケーション」は、どの業界でも共通の課題です。

上司と部下の関係がうまくいかない、職場の雰囲気がギスギスしている――こうした状態では、どんなに条件を整えても人は長く続きません。

定着とは「辞めさせない」ことではなく、「ここで働きたい」と思ってもらうための仕組みづくり。

私はこの5つの切り口から、現場での定着支援を行っています。

▼ 定着を構成する5つの要素について

3.オンボーディングが鍵。採用から定着へつなぐ“最初の1か月”

もうひとつ、特に強調したのが「オンボーディング」という考え方です。

オンボーディングとは、新しく入社した人が早く職場に慣れ、チームの一員として活躍できるように支援する取り組みのことです。

林業のようにチームで動く現場では、初日からのサポートが定着に直結します。

たとえば、最初の1か月で「職場に歓迎されている」と感じられるかどうか。

ここでつまずくと、せっかく採用した人も早期に離職してしまいます。

セミナーでは、以下のような取り組みを紹介しました。

  • 入社前・入社後(1か月程度)のフォローをしっかり行う
  • 初日に安心してスタートできるよう「歓迎モード」を整える
  • 業務を教えるだけでなく、日常的に相談できる「メンター制度」を設ける

どれも特別な仕組みではありませんが、こうした小さな積み重ねが「採用から定着」への最短ルートになります。

オンボーディングは、これからの中小企業にとって“採用活動の延長線上”にある重要なステップといえるでしょう。

📘 入社準備の流れを確認したい方はこちらも参考に:

💡 メンター制度について詳しく知りたい方はこちら:

4.林業の採用定着事例

今回のセミナーを通して、参加者のみなさんに“採用と定着は切り離せない”という意識を持っていただけたなら嬉しく思います。

講演内では、実際に採用・定着に成功している林業企業の事例も紹介しました。

具体的な取り組み内容や成果については、以下の記事で詳しく紹介しているのでこちらもあわせてご覧ください。

さいごに|定着のヒントは現場にある。

採用と定着は表裏一体です。

中小企業こそ、現場の声を聞きながら、自社に合った仕組みを整えることが成果につながります。

今回のセミナー内容が、日々の採用活動や職場づくりを見直すきっかけになれば幸いです。


また、定着までを見据えた採用の仕組みをもっと深く学びたい方は、定着の樹の姉妹サービス『採用塾』をご覧ください。

実践的なワークや事例を通じて、「辞めない採用」を自社で設計できるようになります。

▼ 採用塾の紹介記事はこちら


採用と並行して自社の”定着”も考えていきませんか?

採用は採って終わりではありません。

現実問題として、様々なコストをかけて採用したはずの従業員が、すぐ辞めてしまうケースも少なくありません。

そのため、これからは「採用スキル」だけでなく、従業員に長く働いてもらうための「定着施策を考えて実行していく力」も求められるでしょう。

『定着の樹』では、採用後の受け入れ・教育体制の整え方や、安心して働ける職場づくりのヒントを毎月お届けしています。

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